
「そうですけど、どうして私の名を・・・。」
バーテンの手で揺れる鎖に釘付けになった咲織は俯いたまま聞いた。
『優しそうな方なのに、胸騒ぎが苦しいくらい。 どうして? あの鎖はお店の装飾用なのかしら。 それとも・・・。』
咲織は不安な緊張でハイヒールの足元がぐらつくのを感じた。 怖くて、バーテンの顔が見られなかった。
「首枷を嵌められるために生まれてきた様なほっそりした首の可憐なお嬢さんはそうそういるものじゃありませんからね。 ドアを開けられた瞬間に判りましたよ。 想像していたよりも遥かに上品でお綺麗でしたが。 本当に首枷が良くお似合いです。 これ程触れなば落ちん風情が品よく立ち昇る人にお逢い出来たのは初めてです。 うちの会員様達も興奮を抑えられないでしょう。」
バーテンは静かな動作でカウンターを出て咲織に近づいていた。
「すいません。 一瞬で結構です、上を向いてください。」
柔らかでいて有無を言えない怖さが感じられた。 咲織は考える前に顔を上向けていた。
「上等な首枷ですね。 愛されていらっしゃるのが判ります。 寸分の隙もなくしかも締め付けてもいない。 こんな細い首にぴったりと嵌まっている。」
バーテンは囁く様に話しながら、手にした鎖の先端に付いている小さいがかっちりとした作りのカラビナを咲織の首輪の前面にある金輪に取り付けた。 ガチャリと締まる冷酷な音が暗く冷たい空気を揺るがした気がした。
「ほう。 銀色の鎖に白い肌が一層引き立ちますね。 囚われ者の印がお嬢さんの華奢さを見る者に鮮やかに印象付ける。」
『そう。 私は囚われ者。 奴麗。 人権も何もかもご主人様に捧げた女。 ご主人様の所有物。 あぁ、ご主人様に早くお会いしたい。 ご主人様。』
バーテンの言葉を聞きながら咲織は三宅への想いで胸を熱く濡らしていた。 薄暗い店内もバーテンの姿も瞳には映っていても、脳には映って来なかった。 そこに映っていたのは朧な三宅の姿だけだった。
「うっ。」
バーテンが強い力で首輪に繋がった鎖を引っぱった。 腰がぐらりと曲がり、咲織に突き刺さっている二本の凶器が敏感な粘膜を擦り上げる。 痛みと感悩が背骨を駈け昇る。
「こちらに。」
バーテンは鎖を持ったまま、さっさと歩き始めた。
☆ ↓ ピンチ、どっちもクリックしてね。
バーテンの手で揺れる鎖に釘付けになった咲織は俯いたまま聞いた。
『優しそうな方なのに、胸騒ぎが苦しいくらい。 どうして? あの鎖はお店の装飾用なのかしら。 それとも・・・。』
咲織は不安な緊張でハイヒールの足元がぐらつくのを感じた。 怖くて、バーテンの顔が見られなかった。
「首枷を嵌められるために生まれてきた様なほっそりした首の可憐なお嬢さんはそうそういるものじゃありませんからね。 ドアを開けられた瞬間に判りましたよ。 想像していたよりも遥かに上品でお綺麗でしたが。 本当に首枷が良くお似合いです。 これ程触れなば落ちん風情が品よく立ち昇る人にお逢い出来たのは初めてです。 うちの会員様達も興奮を抑えられないでしょう。」
バーテンは静かな動作でカウンターを出て咲織に近づいていた。
「すいません。 一瞬で結構です、上を向いてください。」
柔らかでいて有無を言えない怖さが感じられた。 咲織は考える前に顔を上向けていた。
「上等な首枷ですね。 愛されていらっしゃるのが判ります。 寸分の隙もなくしかも締め付けてもいない。 こんな細い首にぴったりと嵌まっている。」
バーテンは囁く様に話しながら、手にした鎖の先端に付いている小さいがかっちりとした作りのカラビナを咲織の首輪の前面にある金輪に取り付けた。 ガチャリと締まる冷酷な音が暗く冷たい空気を揺るがした気がした。
「ほう。 銀色の鎖に白い肌が一層引き立ちますね。 囚われ者の印がお嬢さんの華奢さを見る者に鮮やかに印象付ける。」
『そう。 私は囚われ者。 奴麗。 人権も何もかもご主人様に捧げた女。 ご主人様の所有物。 あぁ、ご主人様に早くお会いしたい。 ご主人様。』
バーテンの言葉を聞きながら咲織は三宅への想いで胸を熱く濡らしていた。 薄暗い店内もバーテンの姿も瞳には映っていても、脳には映って来なかった。 そこに映っていたのは朧な三宅の姿だけだった。
「うっ。」
バーテンが強い力で首輪に繋がった鎖を引っぱった。 腰がぐらりと曲がり、咲織に突き刺さっている二本の凶器が敏感な粘膜を擦り上げる。 痛みと感悩が背骨を駈け昇る。
「こちらに。」
バーテンは鎖を持ったまま、さっさと歩き始めた。
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