
「メールが来たよ」
小さな可愛い声と共に、ピンクの兎がディスプレーの下の方を歩いてきた。
「ご主人様からメールです。今すぐ開きますか」
咲織は、ピンクの兎の持った封筒をクリックした。
『キャッ。 わん。 来た、キタ』
胸に甘い痛みを感じながら、急いで「YES」をクリックする。 メールが開くと同時に、人に見られないようディスプレーの隅に画面を縮小した。 小さな文字は、咲織に語りかけて来る。
「今日の夜は空いてるかい。良かったら食事をしよう」
『えっ。ホント。ほんとよね』
一瞬、全身の血が心臓に集まり、頭が空白になった。 次に歓喜が体中を満たし始めた。
たった1行のさりげないメールだったが、咲織を有頂天にさせるには十分だった。勤務中で無ければ、飛び上がり、歓喜の叫びを上げたに違いない。 咲織の艶やかに光る白い頬に赤みが差し、まさに桃色に輝いた。
大きなアーモンド型の目をうっとりと閉じ、長いまつげを潤ませ、濡れたゼリーのようなぽってりと小さい唇をぽかんと開いた。 咲織は、一瞬の間に何度も読み返し、喜びが冷めるような見間違いでないことを確かめた。
「もちろん、空いています。嬉しいです。」
すぐに何も考えず、返信メールを送った。 しばらく時間を開けてから返事をするとか、『忙しいので、待ってください。』とじらすような事は考えられなかった。 一瞬でも早く返事を、想いを伝えないと、せっかくの青い鳥が掌の中から飛んでいってしまうような気がした。 手慣れたキーを押す手が少し震えた。 返信を出してしまうと、今度は、返事ばかりが気になった。
『今のは、間違いメールだと言われたら……』
『ご主人様に急な仕事が入ったら……』
期待が膨らむのと歩調を併せて、不安が広がり、動悸が速まった。仕事も覚束ない。 ご主人様からの返事を待つ時間が、止まった様に感じられる。冷静に考えれば、平日の夕食を供にしようというに過ぎない。もし、夜中まで一緒にいても高々数時間、一緒に居られるだけ。
しかし、ご主人様と咲織が心の中で言っている彼の存在を、初めて意識してから、半年以上待ちに待った、その時なのだ。
毎日、彼に会えることを、彼と楽しく食事したり、映画を観たり、楽しげにデートしている姿を思い描きながら、その日が今日だとは一度も思った事がなかった。
それだけに、簡単なメールだっただけに、信じられなかった。
彼と勤務中にメールを送り合うようになってからすぐに知らされていたにも関わらず、それらはあり得ないこと、現実外のことと思われた。
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「今日の夜は空いてるかい。良かったら食事をしよう」
『えっ。ホント。ほんとよね』
一瞬、全身の血が心臓に集まり、頭が空白になった。 次に歓喜が体中を満たし始めた。
たった1行のさりげないメールだったが、咲織を有頂天にさせるには十分だった。勤務中で無ければ、飛び上がり、歓喜の叫びを上げたに違いない。 咲織の艶やかに光る白い頬に赤みが差し、まさに桃色に輝いた。
大きなアーモンド型の目をうっとりと閉じ、長いまつげを潤ませ、濡れたゼリーのようなぽってりと小さい唇をぽかんと開いた。 咲織は、一瞬の間に何度も読み返し、喜びが冷めるような見間違いでないことを確かめた。
「もちろん、空いています。嬉しいです。」
すぐに何も考えず、返信メールを送った。 しばらく時間を開けてから返事をするとか、『忙しいので、待ってください。』とじらすような事は考えられなかった。 一瞬でも早く返事を、想いを伝えないと、せっかくの青い鳥が掌の中から飛んでいってしまうような気がした。 手慣れたキーを押す手が少し震えた。 返信を出してしまうと、今度は、返事ばかりが気になった。
『今のは、間違いメールだと言われたら……』
『ご主人様に急な仕事が入ったら……』
期待が膨らむのと歩調を併せて、不安が広がり、動悸が速まった。仕事も覚束ない。 ご主人様からの返事を待つ時間が、止まった様に感じられる。冷静に考えれば、平日の夕食を供にしようというに過ぎない。もし、夜中まで一緒にいても高々数時間、一緒に居られるだけ。
しかし、ご主人様と咲織が心の中で言っている彼の存在を、初めて意識してから、半年以上待ちに待った、その時なのだ。
毎日、彼に会えることを、彼と楽しく食事したり、映画を観たり、楽しげにデートしている姿を思い描きながら、その日が今日だとは一度も思った事がなかった。
それだけに、簡単なメールだっただけに、信じられなかった。
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